第16章 人生どこで会わぬことがあろうか

桜井結衣は椅子の背に身を預け、モニターに表示されたその名を静かに見つめた。

目の奥に、言葉にしがたい色が差す。

自分が掘り当てたのは「持ち主不在の宝」だと思っていた。

――違った。もう最初から、所有者の刻印が入っていたのだ。

しかも、その持ち主というのが。

いま自分のベッドで眠り続けている、あの「植物状態」の夫だった。

事故に遭うより前から、音もなく用意していた“隠し資産”。

廃墟同然なのに、実験環境だけは最上級のバイオテクノロジーパーク。

何をするつもりだった?

結衣の脳裏に、可能性が雪崩のように押し寄せる。

あの体内に絡み合っていた、彼女ですら厄介だと感じた複数の毒。...

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