第31章 惜しいことに隠し子だ

浴袍の帯がふっとほどけ、なめらかな生地が桜井結衣の肩先をすべり落ちて、冷たい絨毯の上にくしゃりと積もった。

部屋は静まり返っている。聞こえるのは男の荒く熱い息遣いと、窓の外をときおり掠める風の音だけ。

桜井結衣は彼に跨がった。そうすれば、自分の身体の主導権を最大限に握れる。相手の変化も、いつでも確認できる。

彼女にとってこれは情事じゃない。手術と変わらない。自分は執刀医で、下にいる男は患者であり、同時に「手術そのもの」だった。

彼の肌は異様なほど熱い。薄い布越しでも、理性を焼き切る熱がじりじり伝わってくる。

桜井結衣は無表情のまま、シャツのボタンを外していく。手つきは乾いていて、迷...

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