第56章 勝てない

ラボにいる全員の視線が、年季の入った遠心分離機へと吸い寄せられていた。

1分半後。

轟音がすっと止む。

金子エンジニアが慎重にサンプルを取り出し、そのまま後続の検査へ回した。

結果が出た瞬間、彼はその場で凍りついた。老眼鏡を押さえる指先が、わずかに震えている。

「どう……だった?」

結城南が固唾を飲んで問う。

金子エンジニアは答えない。ただ首だけを捻り、まるで化け物でも見るみたいな目で桜井結衣を見た。

「精製効率が、少なくとも30%は上がってる。しかも……サンプルの活性が、ほとんど落ちてない」

ラボが、しんと静まり返った。

それが何を意味するのか、誰もが分かっていた。

...

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