第59章 勝つためなら手段を選ばない

桜井美桜のプレゼンは、文句のつけようがなかった。

PPTは隅々まで作り込まれ、本人も立ち姿がぶれない。甘い声なのに妙に耳に残る説得力があり、既存の神経活性ペプチドに対する最適化案を、要点を外さずに噛み砕いて説明してみせた。

優等生の模範解答。綺麗で、整っていて――ただ、それ以上ではない。

審査員席と投資家席からは、礼儀正しい頷きが返ってくる。

続くチームも似たり寄ったりだった。薬剤の標的化を少し詰めた、培地の配合を微調整した。いずれも既存の枠の中での改良に留まる。

会場の空気は次第に重くなり、最前列の評判の高い投資家など、手元の万年筆をぼんやり回し始めていた。

「次の組、桜井結衣...

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