第90章 黒崎理人危篤

桜井結衣は彼女を見た。瞳の奥に、薄く冷えた笑みが浮かぶ。

大目に見る?

実の娘を「売り物」みたいに差し出して家の利を取っておいて、いまさらそれが「寛容」だとでも言うつもりか。

「要点だけ言って」

桜井結衣は無駄口を叩く気がなかった。

桐山嵐子は、その取りつく島もない態度に言葉を詰まらせたが、回りくどい芝居を捨てて一気に本題へ切り替える。

「美桜から聞いたわ。あなたが持ってる『覚醒プロジェクト』、あれは出来がいい」

「でも、あの規模をあなた一人で回すのは無理よ。こうしましょ。特許の実施権を桜井グループに移して。以後の投資も開発も、全部うちが引き受ける。美桜がプロジェクトを継いで、...

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