第91章 確信はあるか

皆が反射的に道を空けた。

桜井結衣は足早にベッドへ寄り、身を屈めて黒崎理人の脈を取る。

指先に伝わる拍動は弱く、不規則。――典型的な中毒症状。

視線がさっと枕元のサイドテーブルをなぞる。そこに、半分ほど残った水の入ったグラスがあった。

結衣はそれを持ち上げ、鼻先へ寄せてわずかに嗅ぐ。水で薄まった、かすかな甘いアーモンドの匂いが鼻腔を刺した。

シアン化合物系の即効性毒。だが量は少ない。さらに別の物質が混ざっているせいで即死には至らず、神経系の攪乱と臓器の急性機能不全を引き起こしている。

――えげつない。

「銀鍼」

結衣は顔も上げずに命じた。

執事が即座に用意していた針箱を差し...

ログインして続きを読む