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中村賢也は藤井翼の機嫌を損ねるのが怖くて、すぐに弁明した。

「藤井社長、今回は本当にわざとじゃないんです。さっき、その件をお伝えしそびれてしまって……」

藤井翼はそれ以上追及しなかった。仕事に関しては、もともと感情より理性を優先する男だ。

「出資はYグループ名義でやれ。ライオラは使うな」

「かしこまりました、藤井社長」

中村賢也はほっと息をつき、何度も頷いた。

藤井翼がライオラグループの実質的なオーナーであることを知る者は、ほとんどいない。とりわけ山口家の人間には、その立場をずっと伏せてきた。

車が藤井邸に着く。

中村賢也は隣に置かれた衣類カバーへ目をやり、遠慮がちに口を開い...

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