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少し離れた二階では、ひとりの男が一部始終を見下ろしながら、電話の相手に報告していた。

「藤井さん。新谷さんが新谷奈津子に平手打ちされました。こちらで片づけますか」

受話口の声はひどく冷ややかだった。

「……LX社グループは、ここしばらく順調すぎたようだな」

男はそのひと言で意図を察した。

「承知しました。すぐ動きます」

新谷結奈は頬にそっと触れた。ひりひりと熱を持ち、口の中には鉄っぽい血の味が広がっている。

けれど次の瞬間には、いかにも傷ついた娘らしい顔を作り、新谷奈津子の腕にすがりついた。

「お母さん、私、ちゃんと芽衣に危ないって言ったよ。信じられないなら、そこにいる人...

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