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中村賢也は顔を横に向け、窓際に座る新谷結奈を見た。肩が小刻みに震えるほど、泣いている。

彼は恐る恐る藤井翼に促す。

「藤井社長、早く降りて……慰めてあげたほうが。新谷さん、かなり泣いてます」

「彼女はプライドが高い。俺が今行っても、喜ばない」

藤井翼の目は沈み、手の甲には青筋が浮いていた。いつでも車を降りられる。そんな構えだけはできている。

けれど理性が告げていた。新谷結奈が必要としているのは、ただ慰めてくれる友人じゃない。並んで汗をかいて、もっと高い場所へ連れていく――そういう導き手だ。

自分がその役を担うなら、彼女がいちばん脆く、いちばん落ちている瞬間に、軽率に近づくべきじゃ...

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