9

新谷芽衣は玄関に立つ新谷結奈と新谷浩市を見た瞬間、さっと顔色を失った。

彼女は慌てふためいて布団を引き寄せ、身体を隠す。ぽろぽろと涙がこぼれた。

新谷結奈を見上げ、悔しさに唇を震わせながら、か細い声で訴える。

「お姉ちゃん……わたし、わざとじゃないの。お酒を飲んでて……気づいたら、ここに……」

結奈の手元のスマホは、ベッドへ向けたまま。平静を装っているのに、レンズだけが小刻みに揺れ続ける。

分かっていた。山口拓也も、新谷芽衣も、こういう人間だって。

それでも――目の前で見せつけられれば、腹の底から煮えたぎる。

結奈は目尻を赤くし、震えたふりで浩市を見た。

「浩市兄さん……どう...

ログインして続きを読む