第14章 おとなしく黙れ

朝霧和音は街の店を一軒一軒訪ね、仕事を探していた。

社員寮にはもう戻れない。他にどこへ行けばいいのか見当もつかず、ただ運を天に任せるしかなかった。

「すみません、店員は募集していますか?」

彼女は服を売る店に入った。

一人の店員が愛想よく出迎えてくれたが、その言葉を聞くと、途端に冷たい表情に変わった。

「もう締め切りました。それに、あなたみたいな人はちょっと……雇えませんね」

「見るからに病弱そうですし、うちの店で何かあったら、誰が責任を取るんですか?」

朝霧和音も、今の自分の状態がひどいことは分かっていた。ましてや、顔にはこんなに長い傷跡があるのだ。

「お邪魔しました」

彼...

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