第16章 ただ責任のために

どれくらいの時間が経っただろうか、部屋のドアが外から開けられた。

桐生瑛が、専属の医者を連れて入ってきた。

朝霧和音の顔の涙はすでに乾き、ベッドには数滴の涙の跡が冷や汗と混じって残っているだけで、一見しただけでは分からない。

医者が尋ねるより先に、朝霧和音は自ら口を開いた。

「鞄の中にカルテとレントゲン写真があります」

桐生瑛は彼女の鞄からそれを取り出し、医者に手渡した。

医者はそれを受け取ってしばらく注意深く目を通し、それから朝霧和音の容態を診察した。

「内臓に一定の損傷は見られますが、手術が必要なほどではありません。自然治癒が可能です」

診察を終え、医者は彼女に点滴を打つと...

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