第144章

お祖母様は高齢だが、耳聡く目敏い。何もかもお見通しだ。

彼女に怪しまれないよう、篠崎アエミは声を潜めた。

「お芝居に付き合ってくださってありがとうございます。これが終わったら、私は旧宅に戻りますから」

「はっ」

榎田神也は堪えきれずに鼻で笑った。

「随分と偉そうな口を利く」

夫婦二人はキッチンで立ち働いていた。

意外にも息は合っている。榎田神也が鍋を振るい、篠崎アエミが包丁を握る。

三十分もすれば、食卓には色鮮やかな料理が並んだ。

「お祖母様、召し上がってください。大好物の海老の辛味炒めですよ」

篠崎アエミはそう言いながら海老を手に取り、殻を剥こうとした。そこへ、すらりと...

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