第269章

病院。

頭をざっくり割られ、ぐるぐると包帯を巻かれた岩田延一は、匿名メッセージで送られてきた動画を再生した。

次の瞬間、顔色がさっと変わる。

高級車のナンバーなんて調べようと思えばすぐだ。ひと目見ただけで、その車が誰のものかなどすぐに分かった。榎田神也。

車体が、揺れていた。

どういうことだ

篠崎アエミの、上気した頬ととろりとした瞳が脳裏に浮かぶ。

握っていた手に、ぎり、と力がこもる。骨ばった指の関節が真っ白になった。

胸の底から煮え立つような憎悪がせり上がり、拳でベッドの柵をどん、と殴りつける。乾いた大きな音が病室に響いた。

その時、携帯にまたひとつメッセージが届く。

...

ログインして続きを読む