第40章

麻酔なしで、六十数針も縫うなんて、数々の大きな場面を経験してきた田村健でさえ、少し忍びないと感じていた。

葉田知世はただ黙っていた。藤原羽里の腕の中で小顔は真っ青で、冷や汗がTシャツを濡らし、髪も湿ってべたべたと顔に張り付いていた。

藤原羽里は本来、葉田知世が暴れないように抑えるつもりだったが、彼女はあまりにも大人しく、全く動こうとしなかった。

葉田知世は無表情で田村健が手術針を刺し入れ、引き抜く様子を見つめていた。針が皮膚と肉に刺さる光景に、彼女の虚ろな瞳が一瞬、奇妙に輝いたように見えた。

藤原羽里は自分の目が確かだったかどうか定かではなかったが、急いで片手で葉田知世の目を覆った。...

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