第56章

藤原羽里は葉田知世の腰に腕を回し、彼女を主寝室へと連れていった。

「随分と気前がいいんだな」ドアを閉めながら彼は鼻で冷たく笑い、不機嫌そうな口調で言った。

葉田知世は彼と言い争う気にもなれなかった。自分は彼の選択を尊重し、高嶺の花と過ごす機会まで作ってあげたのに、彼は喜ぶべきではないのだろうか。

「お褒めにあずかり光栄です」彼女はそう言いながら、清潔なバスローブを手に浴室へ向かった。

藤原羽里は彼女の腕を引き、背後のベッドへと押し倒した。

彼は葉田知世の体の両側に腕をついて、見下ろすように彼女を見つめた。その眼差しには探るような好奇心と欲望が混ざり合っていた。

「葉田知世、そんな...

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