第57章

午前二時、ECHOクラブ。

藤原羽里は顔を曇らせながら、次々と酒を飲み続けていた。平原青と田村健は顔を見合わせ、結局は田村健が先に口を開いた。「あのさ、二人の女性を家に残して、一人で出てきたのか?」

「ああ」

「君が出てきたら、葉田知世のあの悪い性格で、蘭を虐めるんじゃないか」平原青は葉田知世に対して良い印象を持っていなかった。

「ない」藤原羽里は首を振った。

「葉田知世は今日、主寝室を蘭に譲るって言い出してな。その様子じゃ、私まで追い出すつもりだった」

「マジかよ?あの女、何考えてるんだ?」田村健が興味を示した。「羽里を手に入れるために、あれだけ頑張ったのにな」

藤原羽里の表...

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