第15話

男は以前と同じように彼女をベッドに押し倒したが、その身体にはどこか微妙な変化が生じているようだった。

以前であれば、マルティナはそこに甘やかなときめきを感じただろう。だが今は、ただ一刻も早くこの状況から逃れたいと願うだけだった。

「今さら向けられる情など、路傍の草より価値がない」という言葉がある。ましてやこれなど、深い愛情と呼ぶことすらできない代物だ。

息が詰まりそうになった頃、ようやく二人の唇が離れた。ベンジャミンの瞳にはマルティナの姿だけが映っていたが、それはまるで、ここ最近の彼女の振る舞いに対する懲罰のようでもあった。

まさか、また唇を噛んだというのか?

「痛っ……」

マルテ...

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