第164話

発言しなければ忘れ去られてしまうのではないかと、彼女たちは恐れているようだった。

「パロマお嬢様、ウォーカー様の愛を見事射止められた暁には、どうか私たちのことをお忘れなきよう……」

なるほど、彼女たちが皆ここに集まり、食い入るようにドラマの成り行きを見守っていたのも無理はない。彼女たちはこの瞬間を待っていたのだ。

それが意図的なおべっかなのか、それとも本心からの言葉なのかはさておき、少なくともエイミー自身は心底喜んでいた。

ベンジャミンのために尊厳を失い、あれほど惨めな思いをしたにもかかわらず、彼への深い愛は変わるどころか、さらに強まっているようだった。

わずかでも可能性があるなら、...

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