第25話

マルチナは鞄の中を探っていた時、先生のために用意したプレゼントの箱を見つけた。その拍子に、うっかり破れた写真を一枚取り出してしまい、それは地面に落ちた。

その瞬間、高級な革靴の足音と共にベンジャミンが現れ、その視線はゆっくりと下へ向けられた。偶然にも写真に写る人物を目にした彼の周囲で、冷たい空気がさらに強まった。

写真の中の二人が誰なのか、彼にははっきりと見て取れた。一人は自分自身、もう一人は間違いなくマルチナだ。しかし、マルチナが特に大切にしていたその写真は、今や真っ二つに引き裂かれ、二人を分断していた。

まるで二人の間に架け橋のない深い溝が刻まれたかのようだった。互いの姿は見えても決...

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