第63話

結局のところ、二人の会話は当然のごとく後味の悪いものとなった。ベンジャミンは、二度とマルティナに自分から離れる隙を与えるつもりなどなかったのだ。

夜になっても、携帯電話を持たず外部との連絡手段もないマルティナには、今が何時なのか見当もつかなかった。

再び眠りに落ちそうになったその時、ベンジャミンが部屋に入ってきた。彼は一言も発することなく近づくと、いきなり彼女を抱き寄せた。

マルティナは本能的に身をよじって抵抗した。「何をするの? 男女がみだりに触れ合うべきじゃないってことぐらい、わきまえてよ」

姿を消していた間、ベンジャミンが何をしていたのかは分からない。だが、今の彼はまるで突然生気...

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