第86話

その間、ベンジャミンの視線はマルティナの目の前にあるパスタに釘付けになり、瞬きひとつしなかった。まるで何か興味深い獲物でも見つけたかのようなその眼差しには、冷徹さと渇望が入り混じっており、どうしても無視することなどできなかった。

マルティナは頭皮が粟立つような感覚と、居心地の悪さを覚えた。どれだけ努めても、パスタを一口も口に運ぶことができない。

結局、彼女は勇気を振り絞って再び尋ねるしかなかった。「もしお腹が空いているのでしたら、私のパスタを先に召し上がりませんか? 私は自分の分をもう一度作りますから」

幸いなことにパスタの残りはまだあったので、完全にひもじい思いをせずに済むはずだ。

...

ログインして続きを読む