第8章

 しばらく、呆然と立ち尽くした。

 黒石島に嫁いできてから、確かに一度も実家に手紙を書いていなかった。

 私は深呼吸を一つして、手紙をひったくるように受け取ると、勢いよく封を破った。

 案の定、便箋を広げた瞬間、父の凄まじい怒号がアイラの優しい筆跡を突き破って燃え上がってくるかのようだった。

 父は激怒していた。私が勝手に結婚相手をすり替え、黒石島へ駆け落ちしたことは、人間の格闘士一族の恥さらしだ、と。

 私は鼻で笑う。

 好きなだけ怒鳴ればいい。どうせここまで聞こえやしないのだから。

 だが、視線が手紙の後半へ移ったとき、こわばっていた肩の力がふっと抜けた。

 アイラは、今...

ログインして続きを読む