第140章

二人は同時に振り返った。いつの間にか柊木広文は目を覚ましていた。

柊木玲文は急いで彼を支えようとしたが、広文に押しのけられた。

「玲文、お前には本当に失望したよ」

広文の失望の目を見て、玲文の体は硬直した。

「お父さん……あなたも私を理解してくれないの?」

彼女は父のために正義を取り戻そうとした。たとえ誰も理解してくれなくても、広文だけは理解してくれると思っていた。

「私が理解しても何の意味がある?この件はもう過去のことだ。掘り返すことでお前の生活に影響が出る。これからの人生は長いんだぞ。渕上長彦を刑務所に送ったら、渕上家の人々が報復してきたらどうするんだ?」

今の彼には彼女を...

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