第150章

渕上爺さんがもうこの件を自分に任せないと見て、弁護士は立ち上がって言った。「渕上さん、長彦様を保釈する方法を探していただきたいので、先に失礼します」

渕上爺さんはうなずいた。「行ってくれ」

弁護士が去った後、渕上爺さんは桐生雪乃に向かって言った。「お前も帰れ。長彦が出られるかどうかは、お前が柊木玲文を説得できるかにかかっている」

そう言って、渕上爺さんは立ち去った。

彼の背中を見つめながら、桐生雪乃は歯を食いしばり、目には憤りが浮かんでいた。

どうやら渕上爺さんも頼りにならない。渕上長彦の生死を気にかけているのは自分だけだ。

渕上家を出た桐生雪乃は、怒りを抱えたまま渕上晏仁に電話...

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