第16章

上の階にいる柊木玲文は、渕上晏仁の部屋のドアが閉まった後、ようやく一息ついた。まるで災難を乗り越えたかのようだった。

彼女は急いで起き上がり、窓辺に歩み寄り、整然と手入れされた芝生を見つめた後、少しの間ためらったが、目を閉じてそのまま飛び降りた……

渕上迅が別荘を出て車の方に向かうと、山本行成がそこに立っており、少し奇妙な表情をしていた。

「どうした?」

山本行成は言いかけてやめ、「渕上社長、ご自身でご覧になった方がいいかと……」

渕上迅は眉をひそめ、直接車のドアを開けた。

目に飛び込んできたのは、衣服が乱れた柊木玲文が怯えた様子で彼を見つめている姿だった。知らない人が見たら...

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