第168章

ついに、渕上迅の冷たい視線が柊木玲文から離れ、隣の佐藤立沢に向けられた。

「行こう」

佐藤立沢はうなずき、渕上迅をオフィスへと連れて行った。

山本行成はその場に残り、二人がオフィスに入った後、柊木玲文に向かって言った。「柊木さん、渕上社長の言ったことは気にしないでください。彼は実は…」

話の途中で、柊木玲文が遮った。「山本さん、私は気にしません。ただ、私は清水で働いているだけで、清水の社員ではありません。仕事上のミス以外で、渕上社長に指図される筋合いはありません」

山本行成は言葉に詰まり、最後にはただため息をついた。

十数分後、佐藤立沢と渕上迅がオフィスから出てきた。柊木玲文は彼...

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