第172章

桐生海彦の目に嘲笑が浮かんだ。「君が言っていいことは、他人が言うのはダメなんだ?」

山崎由美は立ち上がり、冷笑しながら言った。「渕上迅の代わりに菊野雨見を庇ったところで、清水と協力できると思ってるの?バカね!」

桐生海彦は心の中ではそう思っていたが、山崎由美に公然と指摘され、顔色が一気に悪くなった。

「君は今、愛されないことに歪んで、誰にでも噛みついているんだ」

「何だと!」

山崎由美は怒りで顔色が青ざめ、立ち上がって冷たく言った。「後悔しないでね!」

そう言うと、彼女はすぐに個室を出て行った。

最初から最後まで、渕上迅はただ淡々とこの騒動を見ていただけで、表情には何の変化もな...

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