第173章

柊木玲文は不意を突かれ、腰を洗面台の大理石の縁に激しくぶつけた。激痛が走り、顔が真っ青になった。

桜庭清永はすぐに倒れそうな菊野雨見を支え、焦りの表情を浮かべた。

「雨見、大丈夫か?」

菊野雨見は額に青あざができ、弱々しく微笑んだ。「清永、私は大丈夫。柊木さんはわざとじゃないし……それに、私が帰国した途端に迅君が彼女と別れたんだから、彼女が私を恨むのも当然だわ……」

桜庭清永は険しい顔で柊木玲文を冷たく見つめた。「雨見と迅君は元々一緒だったんだ。今はただ元に戻っただけだ。お前がどう思おうと関係ない。もしまた雨見に手を出したら、俺はお前を許さない!」

柊木玲文は菊野雨見に罠にかけられ...

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