第174章

「どちらも選びたくない。今すぐ車を止めて、降りるわ」

渕上迅は冷静な表情で車を発進させた。「選びたくないなら、俺が選ぶ」

柊木玲文は呆れたように笑い、何を言っても渕上迅が車を止めないことを悟り、窓の外を無表情で見つめた。

30分も経たないうちに病院の前に到着し、渕上迅は彼女を抱えて中に入った。

反抗しても無駄だと悟った柊木玲文は、無言で冷たい表情を保ったままだった。

診察が終わると、先生は特に大きな問題はないと言い、内服薬と外用薬を処方した。

病院を出るとき、渕上迅は再び彼女を抱えようとしたが、彼女は数歩後退して避けた。

彼女は冷淡な表情で言った。「今夜はありがとう。自分でタク...

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