第176章

後ろから耳障りなクラクションの音が響き、柊木玲文は我に返り、急いで車を路肩に停めた。

携帯電話を拾い上げるとき、彼女の手は震えていた。

電話はまだ繋がっていて、時原美織の焦った声が携帯から聞こえてきた。

「玲文、大丈夫?何かあったの?今、車で出勤中だったの?私がこんな時にこのニュースを伝えるなんて、本当に馬鹿だった!」

柊木玲文は目の端の涙を拭い、低い声で言った。「大丈夫、さっき携帯をうっかり落としただけ」

「大丈夫なら良かった…本当にこんな時に電話してごめんね…」

時原美織の声には自責の念が込められていた。彼女はニュースを見た瞬間、怒りに駆られて柊木玲文に電話をかけてしまったの...

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