第181章

車を降りた途端、マンションの入り口に人影が現れた。

彼の足が一瞬止まり、目の光が一気に冷たくなった。

佐藤立沢が柊木玲文を止め、彼女を見下ろした。

柊木玲文は眉を少しひそめ、小さな顔には化粧もしていないが、その美しさは驚くほどで、彼の心に波紋が広がった。

「何か用?」

彼女の冷淡さに気づいた佐藤立沢の目に失望の色がよぎり、無理に笑みを浮かべた。

「玲文、さっき柊木おじさんに会ってきたんだ。彼が君に会いたがってる。明日の夜、時間があれば一緒に会いに行こう」

柊木玲文は唇を引き締め、「わかった、時間があれば行くわ」

佐藤立沢とあまり接触したくない柊木玲文は、そう言って立ち去ろうと...

ログインして続きを読む