第187章

柊木玲文は実験室に到着した。もうすぐ勤務時間だ。

白衣に着替えて中に入ると、佐々木晶がスマホを手にして必死に文字を打っているのが見えた。顔には怒りが浮かんでいる。

足音を聞いて、彼女は急に顔を上げ、柊木玲文だと気づくと、慌ててスマホを背後に隠し、動揺している様子だった。

「玲文姉……」

「うん、実験の準備をしよう」

柊木玲文の表情がいつも通り冷静なのを見て、佐々木晶はさっきのグループチャットでの柊木玲文への悪口を思い出し、血圧が一気に上がった。

彼女たちは柊木玲文と接触したこともないのに、どうしてそんなことを言うのか?

それに、佐々木晶は柊木玲文が渕上晏仁のような男と再び関わる...

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