第22章

「渕上社長、奥さんに知られたら……」小林拓海は少し心配そうに言った。

「もっと隠密にやれ。誰にも知られてはいけない。特に玲文には」渕上晏仁は無念そうに言った。

もし彼女が深田知緒のお腹の子供が残ったことを知ったら、もっと離婚を決意するだろう。

そう考えると、渕上晏仁は心が乱れた。

「わかりました」

電話を切った後、小林拓海はため息をついた。この渕上社長のやり方は明らかに柊木玲文を絶望に追い込んでいる。不倫のことはすでに許されないのに、今度は外で子供を育てるなんて、まさに結婚の墓穴を掘っているようなものだ。

彼はただの秘書であり、命令に従うしかなかった。

その後数日間、遠山玲奈は会...

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