第51章

渕上迅は病床のそばに座り、淡々と彼女を見つめていた。

昏睡前の最後の記憶が脳裏に蘇り、柊木玲文は唇を噛みしめ、目を伏せて言った。「渕上社長、助けてくれてありがとうございます」

もし渕上迅がタイミングよく駆けつけてくれなかったら、昨夜何が起こったかは想像に難くない。

「今回のことは私の配慮が足りなかったせいで起きたことです。申し訳ありません」

渕上迅の真剣な瞳と向き合い、柊木玲文の心臓は不意に一拍漏れ、無意識に目をそらした。

「あなたのせいじゃないわ。誰も大林の人間がそんなことをするなんて思わなかったもの」

それに、西村律子はただ彼女を侮辱しようとしただけでなく、録画までしようとして...

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