第60章

ナイフが手の甲に刺さった瞬間、柊木玲文はうめき声を上げ、顔が真っ青になった。

血が手の甲から流れ出し、見るも無惨な光景だった。

遠山玲奈は笑みを浮かべ、ナイフを引き抜いた。

瞬く間に血が飛び散り、柊木玲文は唇を噛みしめて声を上げなかった。

彼女の耐える表情を見て、遠山玲奈の口元の笑みはさらに深まった。

「意外と骨があるんじゃない。でも、どこまで耐えられるかしら」

再びナイフを持ち上げ、柊木玲文の胸に向かって突き刺そうとした。

しかし、ナイフが柊木玲文の胸に届く寸前、手首に激痛が走り、ナイフが地面に落ちた。

遠山玲奈は信じられない思いで、自分の手首に刺さった飛び道具を見つめ、飛び...

ログインして続きを読む