第67章

ほとんど迷うことなく、渕上晏仁は柊木玲文の言葉が終わると同時に答えた。

今の彼にとって一番大事なのは、柊木玲文を自分の元に戻すことだ。他のことは後でゆっくり考えればいい。

「玲文、安心してくれ。もう二度と君に無茶なことはしないと約束するよ」

こんな意味のない約束を渕上晏仁は何度も言ってきたが、柊木玲文は気に留めなかった。

どうせ戻るからには、自分を守る方法を考えている。もし渕上晏仁が無理やり何かをしようとしたら、彼をただでは済ませないつもりだ。

「うん、戻るね。道中気をつけて」

その後の二日間、柊木玲文は家で休みながら荷物を整理していた。

引っ越しの日、時原美織が突然訪ねてきた。...

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