第77章

「それとも、鈴木社長は自分の謝罪がそんなに面子があると思っているのか?」

皆が入口の方を見ると、渕上迅がこの慈善晩餐会の主催者である安倍有弘と一緒に入ってくるのが見えた。

安倍有弘は笑顔を浮かべていたが、渕上迅は冷たい表情で、周囲には冷気が漂っていた。

鈴木和也の目が一瞬暗くなった。もし渕上晏仁だったら、彼に顔を立ててもらうことができたかもしれない。

しかし、渕上迅となると、今夜の件は収拾がつかなくなるかもしれない。

渕上晏仁の顔色も非常に悪かった。さっき柊木玲文が彼の提案に同意しようとしていたのに、渕上迅が横から口を挟んできたことで、渕上氏と成瀬の協力に影響が出るのは必至だっ...

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