第82章

柊木玲文は渕上晏仁の冷たい目を見上げ、冷笑を浮かべながら、彼の手から花と食べ物を奪い取り、ゴミ箱に投げ捨てた。

山本行成の目には驚きが走り、その後すぐに怒りが浮かんだ。「柊木さん、どうしてこんなことを?渕上社長が見舞いに来たのに、あなたは……」

しかし、彼の言葉が終わる前に、渕上迅はすでに背を向けて立ち去り、その背中からは冷たい気配が漂い、見る者を震え上がらせた。

山本行成は心の中で怒りを抑え、急いで渕上迅に追いついた。

「渕上社長、このまま帰るんですか?」

これではあまりにも屈辱的だ。

しかも、渕上迅はこれまで何度も柊木玲文を助けてきたのに、彼女はその恩を仇で返すようなことをする...

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