第194章

電話の向こう側で、山本健一は問いかけに答えられなくなった。

電話を切ると、渡辺美代はこの番号もブラックリストに追加し、ゆっくりとおかゆを飲み続けた。一杯のおかゆを飲み終えると、彼女は高橋隆一のLINEのチャット画面を開き、メッセージを送信した。

「高橋隆一、時間があったら返信して。市役所に行って手続きをしましょう」

病院。

高橋隆一は病室で一晩中付き添い、朝になってタバコを吸いに出たときに、いつの間にかスマホがマナーモードになっていたことに気づいた。

通話履歴には何件かの不在着信があり、「美代」という文字を見た瞬間、彼の眉がわずかに上がった。そしてLINEで渡辺...

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