第51章

男の眉から瞳の隅まで、春の潮のように欲望が溢れ出ていて、浅井立夏はそれを見て胸がどきどきと高鳴るのを感じた。彼女は無意識に少し後ろに身を引きながら言った「まだ手元の仕事が終わってないんです」

宮原裕也は眉を引き締め、デスク上に整然と分類されたファイルに目をやりながら、静かな声で尋ねた「あとどれくらい?」

浅井立夏は彼の本心が読み取れず、隣に置かれた急ぎでないファイルの束を指差して言った「これだけです」

宮原裕也はちらりと見た。その束には五、六冊のファイルがあった。彼は薄い唇を固く結んで言った「ならば早くしろ」

そう言いながら、彼はソファに腰掛けた。その様子は、彼女がファイルを見終わる...

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