第52章

佐藤有希は携帯を置き、カーテンを閉めると、笑顔で宮原裕也の方へ向き直った「裕也、こっちに座りなよ」

宮原裕也はピンク色のソファに腰を下ろした。長い脚をどう置けばいいのか、少し落ち着かない様子だった「具合が悪いって言ってたじゃないか?」

「そう言わなきゃ、来てくれなかったでしょ?」佐藤有希は怒ったような、恨めしいような目で彼を一瞥すると、テーブルの横の絨毯に正座した。

宮原裕也は軽く唇を噛み、黙ったままだった。

佐藤有希は彼に手を伸ばし、甘えるような軽やかな声で言った「ライター貸してくれない?」

宮原裕也はライターを取り出して彼女に渡した。佐藤有希は身を乗り出して受け取り、その指先が...

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