第54章

浅井立夏が再び目を覚ました時、窓の外は暗く、ぼんやりした街灯の光だけが部屋に差し込んでいた。彼女は真っ暗な天井を見つめ、ぼうっとしていた。

死んだのだろうか?

なのに、どうして心臓から広がる痛みをまだ感じることができるのだろう?

「ゴホッ、ゴホッ……」

突然、むせ込んでしまった。

病室の明かりがすぐに灯り、不意に差し込む強い光に思わず手で目を覆った。そして誰かが自分に向かって歩いてくるのを感じた。

その人の足取りは重く、そして見覚えがあった。

浅井立夏の目にまた涙が浮かび、耳に「彼はあなたにそっくりだ」という言葉が響いた。

なぜそんなにひどいことを。

宮原裕也がベッドの傍ら...

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