第55章

浅井立夏は目を丸くして驚き、声も震えながら言った「い、いいえ、自分で洗えますから」

宮原裕也は少し残念そうに頷くと、ドアを閉めて出て行った。

浅井立夏は壁に手をつきながら、深くため息をついた。シャワーの下に立ち、頭から降り注ぐ温かい水流が彼女の病気の疲れを洗い流していった。

宮原裕也はドアの外で電話を受けた。浅井奥さんからだった。彼女は真夜中に悪い夢を見て目が覚めたのだという。

まだ昏睡状態だった浅井立夏のことが心配で、電話をかけてきたのだ。

浅井立夏がすでに目を覚ましたと聞いて、やっと安心したようだった。そして昨日見た立夏の生気のない様子を思い出し、胸が締め付けられる思いになった...

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