第57章

浅井立夏は目の前の男を呆然と見つめていた。認めざるを得ないが、彼は本当に良い顔立ちをしている。潤んだ桃花のような目は、目尻が上がって、色気のある形をしていた。

整った美しい顔立ちで、こんなに近くで見ると、

なんと美しいM字の生え際まである。

普段のオーラが強すぎて、彼の顔をまじまじと見る勇気のある人は少なく、浅井立夏も今日初めて気づいたことだった。彼女は一瞬我を忘れた。

宮原裕也は彼女を放し、姿勢を正すと、襟元を整えた「立て、行くぞ」

浅井立夏はバッグを持って立ち上がった。食事会は彼に邪魔されたのだから、ここにいる必要もない。彼女は宮原裕也に続いて個室を出た。

廊下は静かで、両側の...

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