第17章 篠崎沙耶香は極端な狂人

全員がその方向を見つめると、そこにはいつの間にか立っていたスーツ姿の松見和也がいた。その整えた顔には陰鬱な表情が浮かんでいた。

「和也……」西尾美月は弱々しい声で松見和也を呼んだ。

松見和也は大股で前に進み、冷たく篠崎沙耶香を一瞥した。

その一瞥には陰険さと嫌悪が満ちていた。

篠崎沙耶香は唇を歪め、皮肉な笑みを浮かべた。

「和也、私、痛い……」

その言葉を聞いて、松見和也は腰をかがめて西尾美月を支え起こした。

「どうだ?大丈夫か?」

西尾美月は唇を噛みしめ、一滴の涙がこぼれ落ちた。彼女は首を振り、辛そうに見えた。

松見和也は自分で起き上がった篠崎雪子を冷たく見つめ、「どうい...

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