第22章 松見和也が彼女のドアの前に立っている

篠崎沙耶香の唇の端に冷たい笑みが浮かんだ。

「どうして?」彼女はわざとらしく尋ねた。

母親が失踪してから、篠崎健二は外で囲んでいた浮気相手と私生児を家に連れ込み、母親の全てを奪い取った。

その時、篠崎沙耶香はまだ幼かったが、篠崎健二は彼女を全く気にかけなかった。

長年放置されていたのに、今日急に呼び戻されたのは、昨夜の出来事のせいだ。

その監視カメラの映像は篠崎雪子にも大きな影響を与えたに違いない。彼女は涙を流しながら訴えただろう。

篠崎雪子のために正義を取り戻すことには、もう慣れていた。

「よくもそんなことが言えるな?昨夜お前が何をしたか分かっているのか?雪子が帰ってきた時、...

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