第36章 街を歩いて元夫に偶然会う

「いいよ、入って」中村彩音は西尾美月に松見和也を恐れず、彼に近づくように示した。

西尾美月は唇を噛み、松見和也の腕にそっと手をかけ、優しい声で言った。

「和也、前は私が悪かったわ。昨夜の行動が少し過激だったことは分かってる。後で帰ったら、友樹ちゃんに直接謝るわ、いい?」

松見和也は冷たく彼女を一瞥し、低くて磁性的な声で「必要ない」と言った。

松見和也は先に歩き出し、西尾美月は彼の手を軽く挽いたが、無意識に手が空を切った。

西尾美月は自分を待たずに歩き出した彼を見て、顔の笑みが崩れそうになった。

「和也!」中村彩音は彼の態度に少し苛立った。

西尾美月は振り返り、中村彩音に辛そうに...

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