第117章

三原由美が手術室に入った後、高波直俊は高波明のことが心配になり、先に帰ることにした。

高波家の残りの家族も次々と帰っていき、手術室の外には松本家の人々だけが残って待っていた。

松本のお婆さんは椅子に座り、これまで数々の大きな場面を経験してきたにもかかわらず、孫の生死に直面すると、体が微かに震えるのを止められなかった。

松本心優は両手を合わせ、目を閉じて、黙々と祈り続けていた。

松本安が無事でありますようにと。

松本清は松本心優の隣に静かに座り、一瞬たりとも手術室から視線を外すことができず、顔中に緊張の色が浮かんでいた。

待つ時間はとりわけ長く感じられた。

皆が不安な気持ちで待つ...

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