第120章

彼女が多くを語りたがらないのを見て、高波直俊もそれ以上は尋ねず、立ち上がって彼女の前に歩み寄り、優しく彼女の耳元の髪を耳の後ろに掛けた。

親密な仕草に、三原由美はようやく落ち着いた心臓が再び激しく鼓動し始めた。

高波直俊は掠れた声で尋ねた。「お腹すいてる?先に出て朝ごはん食べよう!何が食べたい?」

三原由美は自分が再び彼に溺れることを恐れ、一歩後ろに下がって距離を置き、落ち着かない様子でうなずいた。「少し食べておいた方がいいわ。明が目を覚ましたら、彼の世話をする体力が必要だから」

高波直俊は嬉しそうにうなずいた。

二人が振り向いて歩き出そうとした瞬間、ICUの外で待機していた看護師...

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